前に述べましたが大腸ポリープは自覚症状がほとんどありません。便潜血検査で陽性になった場合には必ず大腸の精密検査を受けるようにして下さい。大腸の精密検査には内視鏡検査とレントゲン検査がありますが大腸ポリープを早期に発見するためには内視鏡検査の方が確かだと思います。 レントゲン検査では小さなポリープやあまり隆起していない早期癌などはなかなか発見できません。 便潜血が陰性でも内視鏡検査でポリープや早期癌(がん)が発見 されることもがあります。便潜血反応は沢山の人の中から 進行大腸癌(がん)の可能性が高い人を選び出すのに有用な検査です。 この検査が陽性であった人に精密検査として大腸内視鏡検査を行うと 大腸ポリープや大腸癌(がん)が見つかる確率が高いのです。 しかし、この便潜血が陰性だからといって大腸癌(がん)ではないと いうことは言えません。便潜血反応のみではとくに20mm以下の 大腸癌(がん)発見は難しいと言わざるを得ません。最も確実なのは、 過去にポリープや癌があった方は1年に一度、異常がなかった方は およそ2年に一度大腸内視鏡検査を定期的に受けるようにすることです。 車にも検査という車検があるように、人間にも定期的な検査が必要です。40歳を過ぎたら、積極的に検査を受けることをお勧めします。また、ご自分だけでなく、ご家族や友達を大腸癌(がん)から救ってあげましょう。
【早期大腸癌(がん)の写真1】
【早期大腸癌(がん)の写真2】
大腸ポリープの検査には内視鏡検査の他にも便に混ざった血液を調べる「便潜血反応」やバリウムを腸に注入してレントゲン撮影する「大腸透視」等があります。それぞれの特徴をまとめると、次のようになります。
便潜血反応は集団検診で行われる検査で、通常は連続して2日の便をとり便の中に血液が混じっていないかを調べる検査です。 しかし、早期癌(がん)では出血しない 場合もあり、また痔や腸の炎症などでも陽性と診断されます。集団検診のようにスクリーニングとして沢山の人を 検査しなければならない場合は検査を受ける方の時間や肉体的な負担の面、そして費用の面からも有効な検査といえます。
大腸透視は肛門からバリウム(造影剤)を注入してレントゲンで大腸を撮影する検査方法です。大腸全体の様子がわかり、大腸のひだの裏側など、 内視鏡 で見づらい部分も見ることができます。しかし、小さなポリープや平坦な大腸癌(がん)の発見が難しく、異常があれば内視鏡検査をする必要がある、持続的にレントゲン撮影を するため放射線被爆があるなどの欠点もあります。最近では大腸の精密検査としては内視鏡検査が主流になっています。
以前は「大腸内視鏡検査は苦しい」と言われていました。しかし、最近では内視鏡検査に使用する機械の進歩、そして検査の技術が大きく進歩したため 苦痛もなく行えるようになってきました。内視鏡検査は大腸の中を直接観察できバリウム検査では発見が難しい小さなポリープだけでなく、平坦な癌を発見することができます。 また、内視鏡を使ってポリープや早期の大腸癌(がん)癌を取り除くことができる点も大きな特徴です。
大腸内視鏡検査を行うためには、まず正確に観察できるようにするために大腸の中をきれいにする必要があります。そのために約2リットルの下剤を飲みます。 大腸内視鏡検査でおそらく最も大変なのがこの大腸をきれいにする処置です。この下剤はスポーツドリンクに少し塩味を足したような味がします。これが飲みにくいので検査を嫌がる方が おられますが、最近では下剤の錠剤を水、またはお茶で10回に分けて飲む方法が出てきており飲みやすいため当院でも好評です。下剤を飲んで、何度かトイレへいっていただくと 便が透明になってきます。この状態になると検査を行うことができます。
大腸の内視鏡検査というと痛そうでしり込みする方がおられます。しかし基本的には大腸の内視鏡検査は痛いものではありません。大腸の内視鏡は辛いものであるというイメージは捨ててください。 柔らかく細い内視鏡を用いることで静脈麻酔なしでも比較的短時間に楽な検査が可能です。さらに高度な技術をもつ専門医は腸を アコーディオンのように折りたたみながら、直線的に内視鏡を挿入する手法を用いますので、苦痛なく内視鏡検査を行うことができます。通常であればお尻からカメラを入れて盲腸に到達するまでに 3分ほどです。大腸の走行に若干個人差があって5分から10分かかる方もおられますが、総じて検査時間は観察終了まで15分くらいです。 可能であれば腸の動きを一時的に止める注射を行い、内視鏡室でご一緒にモニターをみながら検査をお受けいただきます。ほとんどの場合は鎮痛剤は不必要です。しかし、もしもお痛みが出るようであれば鎮痛剤、鎮静剤を少量使用することでより楽な検査をお受けいただけます。