以前は、ポリープでも大腸癌(がん)と同じように、開腹手術をして、腸を部分的に切除していました。 しかし、この30年ほどの間に内視鏡技術が大きく進歩した結果、今では開腹手術をしないでほとんどのポリープの切除を内視鏡で行うようになっています。 内視鏡的ポリープ切除の方法には「コールドポリペクトミー」「ポリペクトミー」「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」「内視鏡的粘膜下層切除術(ESD)」の4つの方法があります。当院ではコールドポリペクトミー、ポリペクトミー、EMRを行っています。
現在さかんに行われるようになった新しい切除方法です。適応は10mm以下のポリープに限られます。ポリープの拡大観察を行って良性の腺腫と診断したのちに、専用のスネアとよばれるワイヤーを使用し、電気で焼き切らずにそのまま削ぎ切りにして切除いたします。少量の出血はありますが、この方法のほうが傷の治りがよく合併症もすくないです。小さいうちに早めにみつけて切除していけば進行がんは防げます。
内視鏡の先端からワイヤーを出し、ワイヤーをポリープの「茎」の部分にかけて焼き切る方法です。茎をもつポリープに使われる方法です。 焼き切ったポリープは回収し、後に詳細な組織検査を行います。
この方法では平坦なポリープや少し大きめのポリープも切除することができる点が特徴です。 大腸の壁の厚さは約4mmしかなく、迂闊に大きなポリープを切ると大腸の外壁まで高周波がおよび穿孔(大腸の壁に穴が開くこと)を起こすことがあります。 この方法を用いれば内視鏡治療の合併症である穿孔を防ぐことができます。内視鏡の先端から注射針を出してポリープの下の粘膜下層という部分に生理食塩水、 HSE(高調ブドウ糖液)、グリセオールなどの液体を注射します。注入することで粘膜下層が固有筋層からはがれポリープの部分だけを浮かび上がらせることができます。 浮かび上がったポリープにスネアワイヤーといわれる投げ縄のような輪をかけポリペクトミーと同様に高周波の電流をつかって切り取ります。切除した後には小さな潰瘍ができますので 場合によっては止血クリップ(ごく小さな金属製のクリップ)で潰瘍を縫縮します。その後切除したポリープを回収し詳細な組織検査を行います。
近年急速に発達しつつあるのがESDです。この方法の適応疾患は病変の深さが粘膜内にとどまる分化型のがん、 もしくは比較的広い範囲に及ぶ扁平な腫瘍です。EMRに類似した方法で病変を切除するのですが、フック状のナイフを使用し病変の周囲を徐々に剥離し剥ぎ取っていく方法です。 まだどの施設でもできる治療法ではありませんが、比較的大きな早期癌(がん)を開腹手術せずに切除できるため今後普及していくものと思われます。通常は約1週間程度の入院が必要です。
術後に切除したあとの潰瘍から術後出血を起こすことがありえますので、入院でのしっかりとした術後の安静が必要です。