大腸ポリープは、およそ40歳代から増えはじめ、年齢が上がるほどできやすくなります。自覚症状がないため気づかない人が多いのですが、 60歳代になると2人に1人がポリープを持っているとも言われています。また、女性に比べて男性に多くみられることも特徴です。日本では、 大腸ポリープも大腸癌(がん)もこの20年間で増加の一途をたどっています。ついに女性では結腸癌、直腸癌をあわせると癌死亡の第1位になりました。 これは、日本人の食生活が欧米化、つまり動物性脂肪の摂取量が増加し、植物繊維の摂取量が減少したことが原因ではないかと考えられています。
大腸ポリープの発生の予防法は現在のところありません。遺伝子に異常があれば必ず発生すると思われますが、 発生した大腸ポリープが大きくなったり癌化することを予防する方法は 決してないわけではありません。食生活の欧米化が大腸癌(がん)増加の原因といわれていますが大腸ポリープも欧米化した食生活により増大しやすいようなのです。肉食を減らし食物繊維を できるだけ食べるようにするとポリープが大きくなることや癌化することが予防できるといわれています。 また、腸内環境を常に整えておくことも大切です。腸内細菌叢が乱れることにより体の免疫力は低下し、がんやポリープの発生・増大を助長すると言われているのです。大腸憩室をお持ちの方や 便秘・下痢を繰り返すような症状の方、ストレスをため込むような方は要注意です。
健康な人でも毎日100万個のがん細胞ができているといわれています。私達は体に備わった免疫力(主にNK細胞)でこのがん細胞を退治しているのです。 大腸癌(がん)の中には親から子どもへと、高い確率で大腸癌(がん)のできやすい体質が受け継がれるものがあります。これが、遺伝性の大腸癌(がん)です。
その代表が、家族性大腸腺腫症(大腸腺腫性ポリポーシス・FAP)と遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)です。ポリポーシスとはポリープがたくさん(多い場合で100個以上)できた状態の ことです。家族性大腸腺腫症は10代で腺腫が発生すると考えられています。両親のどちらかがこの病気にかかっていた場合は、早目に大腸内視鏡検査を受ける必要があります。 遺伝性非ポリポーシス大腸癌(がん)は遺伝子の異常を修復する遺伝子に問題が生じていることが原因 と言われています。3人以上の血縁者が大腸癌(がん)などの癌にかかっていて、 そのうちの1人が50歳未満で大腸癌(がん)と診断されている場合はこの病気が疑われ ます。しかし、家族性大腸腺腫症も遺伝性非ポリポーシス大腸癌(がん)も、人に感染する病気ではありません。 また、両親のいずれかにこの病気があっても原因遺伝 子を受け継いでいるとは限りませんし、受け継いでいたとしても必ず大腸癌(がん)になるというわけではありません。